糖質には色々なものがあって名前もゴチャゴチャしてわかりづらい物が多いですよね。
グルコース、スクロース、フルクトース、ガラクトース・・・など似たような名前も多いし、よく違いもわからない方が多いでしょう。
色々ある中で「トレハロース」というのは皆さんもよく名前を耳にしたり目にする機会が多いのではないでしょうか。
食品の成分表示を見てもトレハロースが使われているのを目にすることから「トレハロースは危険な添加物なのか?」とお思いになるでしょう。
こちらではトレハロースとは一体何なのか?その効果や危険性などについてお話していきたいと思います。
トレハロースとは
巷でよく聞くトレハロースとは一体何なのか?ということを説明していきます。
トレハロースとは、化学的に言うとグルコース(ブドウ糖)が結合した二糖類のことです。
同じグルコース2つからなる二糖類はマルトース(麦芽糖)というものがありますが、マルトースとは結合の仕方が立体的に異なるという違いがあります。
トレハロースは食品の質を保つ効果があることから、いわゆる「食品添加物」として付与される事が多いです。
「食品添加物」と聞くと危険そうに思えてきますが、トレハロースは自然中には酵母、海藻、キノコ類に含まれている糖類なのです。
人工甘味料とも混合されがちですが天然に存在する糖類なのでこれは全く違います。
だからトレハロースは絶対安心なのだ、と言うつもりはありませんが少なくとも皆さんが思っているような危険な食品添加物とは少し違うということですね。
例えばお肌に良いとされる「ビタミンC」なんかも酸化防止剤の役割を持つ食品添加物として使われていたりしますからね。
いわゆる「権威」の力を借りた話をするなら、WHO(世界保健機関)においてもトレハロースは1日の摂取量上限が定められておらず安全性には太鼓判が押されています。
ただ、こちらではトレハロースがどういう物質でどういう効果があるのかというもう少し具体的な話をしてから判断していきたいと思います。
トレハロースは化粧水などにも使われていますが、これはトレハロースには他の糖類にはない、特異的な性質があるからなのです。
トレハロースの驚異的な効果とは
トレハロースは食品の質を保つために添加物として使われているわけですが、それにはちゃんと理由があります。
それは、トレハロースには驚異的な保水力があるからなのです。
トレハロースは食品だとキノコ類に含まれているというのは少し触れましたが、例えば椎茸にもトレハロースが含まれております。
干し椎茸は、何ヶ月も置いた後に水に浸すとすぐに元通りのみずみずしい姿に戻りますよね。あれは正にトレハロースが持つ保水力が為せる技なのです。
さらに別の例で言うと「クマムシ」という生物にもトレハロースが関わってきます。
クマムシというと「あったかいんだから~♪」というフレーズが思い浮かびますが、今話しているのは生物のほうのクマムシですね。
クマムシは外的なストレスを感じると「乾眠」という状態に入って高温、低音、高圧、放射線などのありとあらゆる外的ストレスに晒されても生き延びることが出来、宇宙空間で10日間生き延びたということもあるほどの、知る人ぞ知る「地上最強生物」なのです。
クマムシは「乾眠」状態から水を加えられるだけで復活するのですが、このクマムシの謎にもトレハロースが関わっているのです。
これ以外にもイワヒバという砂漠に生息する植物や、酵母なども長期間の乾燥にさらされても水を加えるだけで復活してしまう生物がいるのですがこれらもすべてトレハロースがもたらす効果なのです。
このように水を加えるだけで生き返ることが出来るため、トレハロースは「命の糖」とか「復活の糖」なんて呼ばれ方もしています。
干し椎茸の例で言うと、含まれているトレハロースの量が多いほどより元の状態に近づく事ができるそうです。だから食品だけでなく化粧水などにもトレハロースが使われているというわけなのですね。
さらに、トレハロースにはでんぷんの老化、脂質の酸化、タンパク質の凝固を抑制する効果もあります。
でんぷんというと主食であるお米の他にパン、ケーキ、餅といった食品にも含まれている成分ですし、脂質やタンパク質というのは肉や魚といった動物由来のありとあらゆる食品に含まれる成分ですね。
つまり、ほぼすべての食品を効果的に品質を保存できる効果があるということです。
コンビニのお弁当やスポンジケーキなどはその柔らかさを保つために、焼き菓子、揚げ物には脂質が劣化して嫌な匂いが出るのを防ぐために、ハンバーグや卵焼きには、加熱でタンパク質が固まるのを防ぐために、それぞれ使われています。
このことからトレハロースは臓器移植の際の臓器を保存する液体に使われているほどで、医療の現場においてもその安全性が認められているのです。
このように驚異的な保水力と品質保存効果を持つために、トレハロースは食品添加物として様々な食品に使われているのです。
これまでのお話を見ていただければ、トレハロースは危険な添加物ではないというのがおわかりいただけると思います。
トレハロースの腸内環境への効果はどうか?
次に、当サイトの主題とも言うべき「腸内環境への効果」についてお話していきましょう。
トレハロースの構造はグルコース(ブドウ糖)が結合した二糖類でしたね。
糖類が数個くっついた少糖類全般のことをオリゴ糖と言いますので、トレハロースもオリゴ糖の仲間ということになります。
ただこのサイトでは何度もお話しているように、オリゴ糖の効果というのは「小腸で消化・吸収されない」ことで大腸へ届けられて発揮されます。
糖に対しての消化酵素を持ち合わせていれば大腸へ届けられてビフィズス菌のエサにすることができるのですが、実はトレハロースに対しては「トレハラーゼ」という消化酵素を人が体内に持っています。
つまりトレハロースは小腸で消化・吸収されてしまうということです。
とはいえトレハロースの消化に関しては全部消化できるというわけではなく、グルコースに比べるとその消化の頻度に関しては「ある程度」というレベルに留まるそうです(具体的な文献が見当たらないのでもし何かあったら教えていただけると助かります)。
また、オリゴ糖によくある「取りすぎるとお腹をこわす」という特徴もこのトレハロースにはあることから、取りすぎるとやはり消化されずに大腸へ届けられるということも裏付けていますね。
トレハロースは消化されればそのままグルコースとしてエネルギー源になり、消化されなければ大腸に届けられてビフィズス菌のエサになるということで、どちらに転んでも危険な食品添加物ではないというのがわかりますね。
しいて言えば「食べ過ぎるとお腹をくだす」危険性はありますが、それはトレハロースだけでなくすべての食品に言えることでもあります。
トレハロースはある程度の腸内環境改善効果は見込めると思いますし、エビやキノコなどを食べるついでにトレハロースを取るというのは良いことですが「もっと効率の良いオリゴ糖は他にある」というのが正直なところ。
だから腸内環境改善目的というよりは、やはり保湿力や品質保存効果に着目して化粧水や安全な食品添加物としての役割を担ったほうが良いのだと思います。
まとめ:トレハロースとは?何か危険な添加物なの?その効果は
巷でよく聞くトレハロースとは一体何なのか?ということをお話してきましたが、まとめると
・トレハロースは人工甘味料ではなく天然の糖質
・トレハロースは保水力と品質保存力に優れる
・トレハロースを取ることである程度の腸内環境改善効果も期待できる
ということですね。なぜこれほどトレハロースの名前が知れ渡っているのかはなんとなくわかっていただけると思います。
腸内環境にはそこまで効果的とは言えないのが残念ですが、トレハロースのこれからに期待したいです。