日本のソウルフードともいうべきラーメン。
味の好みこそあれ、もはや日本人でラーメンが嫌いな人は存在しないんじゃないかとすら思えてきます。そしてそのラーメンの人気は国を超えて外国人にも「日本のラーメン」は愛されています。
醤油ラーメン、味噌ラーメンなど様々なバリエーションはありますが、中でもとんこつラーメンは外国人に一番人気。あのこってりとした口当たりが外国人の好みに合うのでしょう。
私もラーメンの中ではとんこつラーメンが最も好きで近所のラーメン屋によく通っているのですが、どうもそのラーメンを食べると翌日に下痢をすることが多かったんです。
まあ元々子供のころからお腹が弱いということもありましたので、そのラーメンと体の相性が悪いだけなのかなと思っていたのですが、調べたところ「ラーメンを食べたら下痢になる」という悩みを持っている人が結構いるみたいなんですよね!
そしてラーメンの中でも特にとんこつラーメンを食べたときに下痢になりやすいようなのです。
下痢といえば腸内環境が悪化している典型的な症状と言えますよね。とんこつラーメンで腸内環境が悪化してしまっているのだとしたらどのようにして気を付ければいいのでしょうか・・・?
ということでこちらでは
・なぜとんこつラーメンを食べると下痢になってしまうのか?
・下痢になると腸内環境はどうなっているのか?
についてお話していきたいと思います。
目次
油は腸にとって刺激物となる
とんこつラーメンに限りませんが、ラーメンを考える上で外せない要素の一つが油です。
要は脂肪分ということですが、実は油というのは人間の体にとって刺激物です。炭水化物、タンパク質と並んで脂肪は三大栄養素とは言われているものの消化されにくく、これら3つの中では最も消化に時間がかかります。
脂っこいもので胃もたれになる原因とは
脂っこいものを食べると胃がもたれるというのはよくあることですが、これはとりもなおさず、油が体にとって刺激物であることの現れです。
胃というのは元々、食べたものを一時的に貯蔵してその後ゆっくりと小腸へと送るという消化器官です。
油が大量に含まれた食べ物を食べると、小腸が「そんなにたくさんの油いっぺんに送られても処理できない!」と胃に文句を言うことで胃はさらにゆっくり小腸へと送り出すことになり、油の胃での滞在時間は増え、その間も胃は休まることがないため胃が疲れていきます。
胃も小腸も、この油というやつの扱いには非常に困っているんですね。
大腸に油が送られると下痢になる
そしていっぺんにたくさんの量の油が摂取されるとどうなるかというと、小腸で吸収しきれずに大腸へと送られていきます。
大腸というのは主に水分を吸収する器官なので油を吸収するようには出来ておりません。すると大腸はこれを異物として認識し、他の栄養を吸収するよりも油を体外へ排出しようとして下痢になるのです。
とんこつラーメンは特に油が多い
そしてラーメンの中でもとんこつラーメンは特に油を多く含んでいます。
とんこつラーメンというのは、豚ガラという各部位の骨を長時間煮込んだものをスープのベースにして作っていますが、煮込んでいると段々白濁してきます。あれはまさに油そのものです。
通常、油というと水に混ざらないものですし、「水と油」と言われるように相性が悪く、水と油を混ぜると油の膜が浮いてきます。
しかし、乳化剤を媒介にすることで親和性の低い水と油を結びつけることが出来るのです。
とんこつラーメンの場合、骨を煮こむことでゼラチンが溶け出すためこれが乳化剤として働き、水と豚骨の油を結びつけて白濁したスープを作り出しています。
他にも、マヨネーズは酢と油を乳化させたものですし、油汚れを石鹸で落として水で洗い流せるようになるのも乳化を利用しています。
乳化したスープは味がくどくなく、これがとんこつラーメンのスープにコクを作り出しているのですが、見た目以上に油が多く含まれているということでもあるのです。
さらに、とんこつラーメンにはその油が乳化したスープだけでなく、そこに加えて背脂、チャーシューなど、油が多くなる要素が他にもありますね。
麺にはアルカリ性添加物「かんすい」が含まれる
さらに言うと、ラーメンには麺の弾力や色をつけるために「かんすい」というアルカリ性の添加物が使われており、これが腸への刺激となり下痢を誘発する原因になっているとも考えられます。
昨今では麺の硬さをお好みで選ぶことが出来ますが、硬めで注文すると、麺を茹でる時間が少なくなってかんすいが麺から抜けきらず、下痢になりやすいです。また、麺の主成分である小麦粉も生で食べると消化に悪いのでこれも下痢になりやすい原因ですね。
スープ、チャーシュー、背脂などにたっぷり含まれる動物性脂肪に加えて麺に含まれるかんすいという下痢になりやすい要素が合わさり、下痢の「全部のせ」トッピングになっているのがとんこつラーメンというわけですね。
でも、油という刺激物は口から入れる際には何とも言えない「コク」を作り出し、食べるのを誘惑してきます。ラーメンに限らず、ステーキ、大トロ、とんかつなど美味しいものは油がたっぷり。何とも罪な存在です。
カップラーメンも下痢になる?
お店のとんこつラーメンは脂肪が多く含まれるため下痢になりやすいのですが、ではカップラーメンはどうでしょうか?
どちらかと言うとカップラーメンはお店のラーメンよりも量も控えめだし軽く食べることができ、脂肪分も少なそうに思えます。しかし、カップラーメンやインスタントラーメンの多くが「油熱乾燥法」という、油で麺を揚げる事で長期保存が可能な製法で作られています。
最近では、ノンフライ製法という油を使わないカップラーメンやインスタントラーメンが増えてきたのも事実ですが、昔ながらのカップヌードルやチキンラーメンなどはまだこの油熱乾燥法を使っております。
この油が麺についているため、長期間保存がきくとはいえ時間が経てば段々と劣化していき、それが下痢になることも考えられます。
では、ノンフライ製法で油を使っていないカップラーメンやインスタントラーメンなら100%安心かというとそうでもありません。
ラーメンの麺には「かんすい」というアルカリ性の添加物が使われているということは前述のとおりですが、これはカップラーメンの麺も例外ではありません。
普通の麺は茹でたお湯とスープは別々にするため、硬くゆでたりしない限り、かんすいが麺に残ることはほとんどなく、体に入る量もごくわずかです。しかし、カップラーメンは多くの場合、麺にお湯を注いでそのままスープごと食べますよね。そのためかんすいごと食べる事になり、かんすいによる下痢が発生しやすいのです。
カップラーメンはスープごと飲む人は結構多いと思います。それは単にスープを捨てるのがもったいないという貧乏根性もあるでしょうが、何より出汁がきいてるし味付けも適度にされていて美味しいですからね。
下痢と善玉菌・腸内環境の関係
下痢というのは本来、体に異物が入った際にそれを体外へ排出しようとする防衛反応なので油を摂取すると下痢になるのはある意味当然と言えます。
しかし、異物を排除したからめでたしめでたし・・・で果たして終わるのでしょうか?
もちろん、下痢になったからといってそのせいで腸内の善玉菌が便にいつもより多く交じって減ってしまうということはありません。
ただ、下痢になるということは腸内の善玉菌が減っていることを示すサインになっている可能性はあります。
つまり、
× 下痢になる → 善玉菌が減る
○ 善玉菌が減る → 下痢になる
となり、後者の図式は成り立つということです。
同じものを食べたとしても、人によってお腹を壊したりまったく平気だったりといった違いがありますよね。
それはとりもないさず腸内環境の違いから来ています。同じものを食べたとしても悪玉菌が優勢だと有害な物質を作り出してさらに腸内環境を悪化させ、それが下痢という症状で現れるのです。
まとめ:とんこつラーメンが下痢の原因に?カップラーメンはOK?下痢と善玉菌
とんこつラーメンと下痢の関係や下痢と善玉菌の関係などについてお話してきましたが、まとめると
・過剰な油は胃・腸にとって刺激となる
・とんこつラーメンは見えないところに油があり、思っている以上に油が多い
・麵に含まれるかんすいも下痢の原因となる
・下痢は腸内環境悪化のサインと見るべし!
ということですね。
日本人とラーメンはもはや切っても切り離せない関係にあります。
よほどストイックな人でなければ「もう今後一切ラーメンは食べない!」とすることはできないでしょうが、うまく付き合ってほどほどにしたいものですね。