腸内フローラを改善するには腸内の善玉菌がカギになってくるわけですが、この善玉菌として有名なものに乳酸菌というものがあります。
腸内の善玉菌というのはビフィズス菌が99.9%を占めるので、最も重要なのはこのビフィズス菌で間違いないのですが、乳酸菌も腸内を酸性に保って悪玉菌の繁殖を防いだりビフィズス菌のサポートをする機能もあるので無視できないものです。
その乳酸菌には実は二種類のものがあります。それは動物性乳酸菌と植物性乳酸菌です。
通常私たちが「乳酸菌」という言葉を聞いた時に、これを含む食品といえばチーズやヨーグルトといった乳製品をまず真っ先に思い浮かべるでしょう。
しかし動物性乳酸菌は取ってもあまり腸には届かないので、その効果を発揮させるためには植物性乳酸菌を取らなければなりません。
ここでは
・植物性乳酸菌とはどういうものなのか?
・植物性乳酸菌はどのような食べ物に含まれるのか?
ということについてお話していきたいと思います。
目次
植物性乳酸菌とは
植物性乳酸菌というのは、読んで字のごとしなのですが野菜、米、豆、麦などの植物由来の食べ物に含まれている乳酸菌です。
対して冒頭でも少し触れたヨーグルトやチーズなどの乳製品に含まれる乳酸菌は動物性乳酸菌と言います。
動物性乳酸菌は熱や酸で死滅する
植物性乳酸菌の方は胃酸にも強いので生きたまま腸に届けることが出来るのに対して、動物性乳酸菌の方は酸や熱に弱く死滅してしまいます。
この違いの理由としては、植物性乳酸菌のほうは元々厳しい環境で微生物などと共生しているのに対して動物性乳酸菌は穏やかな環境で生育しているということが考えられます。
考えてみれば動物のミルク中に含まれる動物性乳酸菌って、周りはミルクに囲まれてるから栄養豊富ですしその生き物の体温の恩恵に与ることが出来るというかなり恵まれた環境で存在していますよね。
そもそも動物の乳というのは、その種の赤ちゃんを育てるために作られるものです。生まれたてで胃腸も弱い赤ちゃんを育むためには、栄養もパーフェクトで組成も均一にして吸収しやすくなければなりません。
こんな恵まれた環境で生きている動物性乳酸菌はちょっとした刺激にも弱く、製造の過程で加熱殺菌してしまう牛乳はもちろんのこと、ヨーグルトになってもそのほとんどの動物性乳酸菌が死滅してしまっていると言えるでしょう!
ただ、動物性乳酸菌の方は死滅してしまうとはいえ、その死滅した乳酸菌の死骸がそのまま善玉菌の餌になるので動物性乳酸菌がが全く無意味というわけではありません。
ただ、乳酸菌を腸に届けることが目的なのに随分と遠回りになっちゃいますよね(笑)。
乳酸菌を腸に届けることで腸内フローラを改善する、ということを目的にするなら植物性乳酸菌の方が効果的なのです。
植物性乳酸菌の効果
では、植物性乳酸菌は動物性乳酸菌と比べてどんな効果が期待できるのでしょうか。
圧倒的なタフさで生きたまま腸に届く
植物乳酸菌の着目すべきところは何といってもそのタフさにあります!
デリケートな動物性乳酸菌と違って糖濃度、栄養状態、食塩濃度、ほかの微生物との共生などありとあらゆる外的環境をも跳ね返してしまいます。塩をドサっと入れても殺菌しなくてもおかまいなしで生き延びてしまうというサバイバル体質の持ち主なのです。
このタフさをもって生きたまま腸にたどり着いた植物性乳酸菌は、善玉菌の99.9%を占めるビフィズス菌の働きをサポートしてくれます。もっと言えば、ビフィズス菌が存在しやすい環境を作る働きをしてくれます。
あるいは、乳酸菌というその名前の通り糖を分解して「乳酸」を作りだすことで腸内を酸性に保ち悪玉菌の繁殖を防いでくれる効果も期待できます。
免疫機能を向上させてがんにも効果が
さらには、リンパ球を活性化して免疫力を高める効果も期待できます。
人間の体全体の免疫機能の70%が腸に集結しているということはすでにお話しましたね。腸内フローラを整えれば免疫力が高まってくるのも自然なことです。
この免疫機能の向上に関連して、がんにも効果があるとされています。
そもそもがんというものはその大部分が腸内の粘膜から発生すると言われています。
がんが発生するのも、それを抑制する免疫機能も、腸にほぼ集結されているということでなおさら腸内環境を整えることが重要というのがわかりますよね。
そして植物性乳酸菌は、単にがんを出来にくくするという予防効果のみならず、すでにできてしまったがんの活性化をも抑制してくれるのです。
実際にマウスに対してがん細胞を植え付けてから乳酸菌でがんの抑制効果が見られるかどうかを確かめるという実験が行われており、そちらでは乳酸菌を与えたマウスはがんの発症率が55%にまで低下しました。
植物性乳酸菌が含まれる食べ物
恵まれた環境で生育されている動物性乳酸菌に対して、植物性乳酸菌は栄養が不足しているようなところでも生育できるためほぼすべての植物に含まれていると言えます。
そして、これらの植物性乳酸菌のみが生育できるような環境にして乳酸菌を増加させたのが発酵食品です。
ぬか味噌やお新香などは塩分の多いところに漬けることで腐敗菌が生育しにくい環境を作って乳酸菌を増加させて作っているのです。
だから、植物性乳酸菌を多く含む食べ物は植物を使った発酵食品です。
日本は昔からこういった植物の発酵食品を多く食してきました。和食に使われるようなものは基本的に豊富な植物性乳酸菌を含んでいます。
味噌、醤油、酢、みりんといったおなじみの調味料から、ぬか漬け、しば漬け、たくあん、さらには納豆や日本酒なんかも植物性乳酸菌を含んでいます。
日本食以外なら韓国のキムチ、中国のザーサイなどが代表的な植物性乳酸菌を含む食べ物ですね。
注意してほしいのは、さまざまな環境に強い植物性乳酸菌といえども熱には弱いということです。
漬物なんかはそのまま食べるので問題ないと思いますが、味噌や醤油などは味付けに使う際に熱を加えてしまうことがあるでしょう。味噌は特に顕著ですね。生の味噌を食べることはそれほどなく、味噌汁として食することが多いでしょうから。
とはいえ生で食べようとするときゅうりにつけるくらいしかないし、そのまま食べても塩気が強くてそんなにたくさん食べられないですよね。
そして、子供がいる家庭のメニューを考えると少々頭が痛い品目が並びます(笑)。
子供に漬物なんて論外!キムチもどうかな~って感じだし、きゅうりのみそ漬けなんて食べてくれるのか・・・?
やっぱり無難なところで味噌汁が一番いいかな~って思っちゃいますよね。まあなるべく最後のほうに入れて加熱で乳酸菌を殺さないようにしたほうが良いでしょう。
まとめ:植物性乳酸菌が腸内フローラ改善に効果が!どんな食べ物に含まれる?
さて、植物性乳酸菌の効果やどんな食べ物に含まれるのかということをお話してきましたがまとめると
・植物性乳酸菌は動物性乳酸菌より過酷な環境に強い!
・タフな植物性乳酸菌は生きて腸に届く!
・植物性乳酸菌は植物の発酵食品に特に多く含まれる
ということですね。昔ながらの発酵食品に多く含まれるということで、あらためて日本食の良さに注目したいですね!