一過性の下痢と違って、なんとな~くゆるいウンチが続くのが「軟便」です。
下痢でもない、腹痛なし、なのになぜか毎日軟便になるという方は結構いるようですね。
軟便は軟便で厄介なんですよね。
残便感でどうにもスッキリしないから1日に5回も6回もトイレに駆け込むことになったりします。
それくらいで済めばいいのですが最悪の場合「便失禁」を引き起こしまうなんてことも・・・
こういった軟便体質の原因は
①脂肪分を多く含む食事を取っている
②腸内環境が悪化している
③蠕動運動が活発になりすぎている
といったことが考えられます。
つまり軟便体質を解消する方法はこれらということになりますね。
こちらでは
・軟便と下痢の違い
・軟便の危険性
・軟便の治し方
・軟便や下痢を解消するサプリメント
についてお話していきたいと思います。
目次
軟便と下痢の違い
厳密な軟便と下痢の違いを言うと、便に含まれる水分量にあります。
理想的な便に含まれる水分量は大体70~80%くらいで、それよりも少し多い80%~90%のものが「軟便」となり、水分量が90%以上のものを「下痢」と言う違いがあります。
ただ私たちは日常生活において自分の便の水分量をいちいち計測なんかしませんから、ここの違いについてはざっくりと
理想的な便 < 軟便 < 下痢
の順番で水分が多くなるのだという風に覚えておきましょう。つまり軟便とは理想的な便と下痢のちょうど中間に位置するという便なわけです。
つまり軟便も下痢もそこに含まれる水分量の違いだけで、根本的な違いはそれほどないと言えます。
軟便だから下痢よりも安心・・・ではない!
軟便は下痢よりも深刻さは無いように思えますが、必ずしもそうではありません。
特に便秘と比べると
「軟便でも出るんだから便秘より良いじゃない!」
とそこまで深刻に考えない人も多いでしょう。
下痢は体が病原体などの異物を察知した際にそれを体外へと排出させる緊急措置のようなもの。だからその異物を出し切るまで腹痛や嘔吐などの症状を伴って何とか出そうとしますがあくまで一過性のものです。
しかし軟便は、慢性的にうんちがゆる~い状態が続いているということであり、腸内環境が悪化していることのサインと見るべきで、単に「拭き取っても汚れが落ちにくいな~」では済まされないのです。
腸内環境の悪化による毒素の発生は肌荒れ、老化、不妊症、口臭、体臭など様々な害を及ぼします。
便失禁の恐怖!
また、軟便の方は「便漏れ」「便失禁」を引き起こしてしまう可能性が高くなります。
以前、NHKのためしてガッテンで「便失禁」について特集されたことがありますがその時にはなんと500万人の人が便失禁に悩んでいるという話でした。
便失禁の原因は内・外肛門括約筋の収縮力の低下など様々なものがありますが、軟便・下痢体質であることもその一つです。
単純に普通の便よりも柔らかいので制御しづらくなるんですよね。
トイレに行きたいと思った時にはすでに我慢できなくなってしまったり、毎回のようにトイレに駆け込む状態の人は下痢・軟便体質の人に共通する悩みです。
特に歳を取って括約筋の力が弱まるとそれが顕著で、トイレに駆け込んでも間に合わずに漏らしてしまうということがあるんですね。
こう聞くと「便失禁」は高齢者に多いような病気にも思えますが必ずしもそうではなく、10代の若い男女でも外肛門括約筋が切れてしまって本来の力を発揮できないことがあります。
また、出産時の肛門の損傷なども便失禁の原因ですね。
あるいは軟便だと一度の排便だけでは全部を出し切ることが出来ず、後からプッと便が出てしまうこともあります。
軟便だと普通の便よりも臭いが強いということや、ねっとりしていてふき取ってもなかなか綺麗にならないということも厄介です。
「何か臭いがするな~と思ったら知らないうちにパンツが汚れていた」
なんてことにならないよう、軟便・下痢体質は注意をした方が良いでしょう。
軟便が続く原因
さて、冒頭において軟便が慢性的に続く原因として
①脂肪分を多く含む食事を取っている
②腸内環境が悪化している
③蠕動運動が活発になりすぎている
の3つを挙げたところです。それぞれ詳しくお話していきましょう。
脂肪分を多く含む食事を日常的に取っている
脂肪分を多く含むものを日常的に食べていると下痢・軟便気味になります。
とんこつラーメンを食べた翌日はどうもお腹の調子が悪いということありますよね?
あれはとんこつラーメンに脂肪分が多く含まれていることが原因です。
脂肪は元々消化しにくいということもありますが、取りすぎた脂肪を消化するために小腸で分泌される胆汁の量が多くなり、その一部が大腸へと流れて下痢や軟便の原因となるのです(胆汁性下痢症)。
腸内環境の悪化
脂肪分を多く含む食事と関係してきますが、腸内環境の悪化が下痢・軟便の原因にもなります。
脂肪分を多く含む食品というのは、大腸の善玉菌を育てる食物繊維やオリゴ糖が少なくなるのが必然です。
腸内環境が悪化していると下痢、軟便、便秘など様々な症状として現れます。
中には「便秘なのに軟便」という一見矛盾した症状が出る人もいるのではないでしょうか。
こういった不安定な便の状態は正に腸内環境の悪化が原因だからです。
ビフィズス菌、ユーバクテリウムなどの善玉菌や、ウェルシュ菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、サルモネラ菌、赤痢菌といった悪玉菌など、様々な細菌がせめぎ合っており、さらにはどちらか優勢な方に加勢する日和見菌も加わってせめぎ合いをしているのが大腸です。
普段は善玉菌が悪玉菌の繁殖を抑えていますが、善玉菌が少なくなれば悪玉菌の勢力が強くなって日和見菌も悪玉菌に加勢して悪玉菌のような働きを示します。
その崩れた腸内細菌のバランスが慢性的な下痢や軟便を引き起こすのです。
あるいは、繁殖した悪玉菌の種類によっては便秘になったりもします。
便秘にしても下痢にしても、悪玉菌の繁殖を抑える善玉菌が少なくなって引き起こされます。
症状をまとめて改善したいならやはり腸内環境を整えることが重要です。
蠕動運動が活発になりすぎている
実は大腸の主な役割というのは、小腸から送られてきた内容物の水分を吸収することにあります。
主な栄養素は小腸で吸収しますが、その他の水分や電解質などは大腸で吸収するという役割分担をしているのです。
逆に言うと、大腸でどれだけ水分を吸収したかでウンチの水分量が決まってきます。
ところが、蠕動運動(便を排出する動き)が通常よりも活発になりすぎていると便の水分を十分に吸収する時間もないままウンチとして排出してしまうのです。これが下痢・軟便体質をもたらすのですね。
つまり腸が働きすぎているのです。
逆に水分の吸収量が多ければコロコロと硬いウンチになり便秘気味になります。
蠕動運動が活発になりすぎる原因の一つはストレスと言われています。
過敏性腸症候群もストレスが原因と言われており、下痢・軟便体質は過敏性腸症候群に陥っている可能性があります。
食べてすぐ便意を催す「胃直腸反射」は健康な人でも起こる生理現象ですが、食べてすぐ下痢になるような人は過敏性腸症候群を疑いましょう。
医者は過敏性腸症候群を治してくれるわけではない!
過敏性腸症候群かどうかはお医者さんに行って診断してもらうのが一番ですが、正直医者に行ったところで大した改善は望めません。
①食生活の改善
②ストレスを溜めない
③運動をしよう
といったごく当たり前のことを指導されて終わるでしょう。
過敏性腸症候群というものは、見た目には疾患がないのに腹痛、腹部不快感、下痢、便秘などの症状が出て腸がおかしい状態の総称であり、医者がすぐに治せる類の病気ではないからです。
下痢・軟便体質の治し方は?
では、下痢・軟便の治し方はどうするのが最も良いのでしょうか?
今までの話を踏まえると
・脂肪分の多い食事を控える
・腸内環境を整える
・活発になりすぎた蠕動運動を抑制する
ということがカギになるでしょう。
とはいえ下痢止め薬は正露丸に代表されるようにクレオソートというヤバい物質が使われていて副作用が気になります。
何しろクレオソートは触るだけでもヤバい劇物とされており、5歳未満の子供には決して触れさせないようにという注意書きが正露丸にあります。
少し話は変わりますが、抗生物質を飲んでいるとその副作用として下痢になることがあります。
この場合は抗生物質によって腸内細菌が根こそぎ死滅してしまうからなんですね。
まあ、とにかく便秘薬は使わないほうが良いということです。腸内環境を整えるのとは逆方向のケアになりますからね。
薬を使わずに腸内環境を整えるということになれば、私がいつも言っているようにオリゴ糖が最も効果的です。
ただし万能に思えるオリゴ糖にも重大な欠点があるのです。
オリゴ糖は下痢・軟便を悪化させる可能性が・・・
オリゴ糖は腸内環境を整える万能食品です。
しかし、オリゴ糖は取りすぎると下痢になるという副作用を持っています。
これはオリゴ糖の「消化されない」という性質が原因です。
消化されない物質が大腸に多く溜まると、浸透圧が働いて水分が多くなって下痢になります(浸透圧性の下痢)。
これはオリゴ糖に限らず「消化されないもの」なら何でも起こることで、有名なものにキシリトール配合のガムがあります。
一度にたくさん食べるとお腹がゆるくなることがあります。
と記載してありますね。これが正に浸透圧性の下痢のことで、オリゴ糖にも同じことが言えるのです。
さらに言うとオリゴ糖が作り出す短鎖脂肪酸は大腸のエネルギー源になって蠕動運動を活発にするので、蠕動運動が活発になりすぎている下痢・軟便体質の人には逆効果になってしまうと思います。
だから
・腸内環境を整える
・蠕動運動を活発にし過ぎない
ということを同時に満たすものが必要になってくるんですね。
「蠕動運動を自然な状態に戻す」という表現が最もしっくりきますね。
下痢・軟便体質にオススメなのは梅干し!
蠕動運動を自然な状態に戻すのにオススメなのは梅干しを食べることです。
「梅は医者いらず」という言葉があるように昔から梅は家庭の万能薬として重宝され、梅干しを食べることで食あたり、赤痢、コレラなどの伝染病防止などに役立ってきました。
昔の人は梅干しを食べて体の不調が良くなることを体感的に知っていたんですね。
そして、実は梅干しには下痢と便秘の両方を改善する効果があります。
梅干しに含まれるクエン酸やリンゴ酸などの有機酸が腸内を酸性にすることでアルカリ性を好む悪玉菌を殺菌して蠕動運動をちょうどよく保つ効果があるからです。
これは梅の可逆性と言われており「蠕動運動を自然な状態に戻す」というのに正にピッタリなのです(参考:一般財団法人 梅研究会HP)。
梅干しの50倍の効果!驚異の梅肉エキス
そして上級者には梅干しの50倍の効果を示す「梅肉エキス」というのもオススメです。
梅肉というのは単に梅干しから種を除いて細かくしたものですが、梅肉エキスは梅肉を長時間煮詰めて濃縮したものです。
梅肉エキスは新鮮な青梅1kgからたった20gしか取れないほどです。
梅肉エキスにはインフルエンザ予防、抗アレルギー作用、活性酸素除去・・・など18種類の健康効果があるとされていています(参考 梅丹本舗)。
梅肉エキスは少し舐めただけで下痢が収まると言われています。
それほど効果的な梅肉エキスですが、予想通りめちゃめちゃ酸っぱいです。
まあ梅干しの50倍の効果だから単純に梅干しの50倍酸っぱい、というわけではないでしょうが(笑)。
もちろん梅肉エキスを直接舐めても良いですが、お湯割りで飲むとかサラダのドレッシングに使うという使い方も出来ますね。
梅肉エキスを使うのが面倒とか酸っぱいのが苦手という人は『黒梅日和』というサプリメントもあるのでこちらの方が手軽に取れるかもしれませんね。
こちらは梅肉エキスの他に
・ピロリ菌を除去する紫ウコン
・蠕動運動を抑制するアロニアポリフェノール
が配合されていますのでより効果的です。
まとめ:腹痛なしなのに軟便が続く原因とは?下痢との違いとは?
軟便は理想的なうんちより水分量が多く、下痢よりは少ないという中間の状態のウンチのことを言います。
下痢のような緊急性は無いものの、慢性的にウンチが緩い状態が続いているとしたらそれは腸内環境が悪化しているサインと見るべきで、軟便と便秘が並行するといったことも起こります。
軟便・下痢体質が続く原因は
・脂肪分を多く含む食事
・腸内環境の悪化
・蠕動運動が活発になりすぎている
などがあります。
腸内環境の改善ならオリゴ糖が効果的ですが、オリゴ糖は「蠕動運動を活性化する」という食品であることに加えて取りすぎると下痢になってしまう可能性があります。
そこで、「蠕動運動を正常な状態に戻す」ということに長けた梅干しを取ることをオススメします。
「梅は医者いらず」と言われるように梅は昔から家庭の万能薬として知られており、その殺菌作用により下痢と便秘の両方を改善する力があります。
梅干しの50倍の効果をもつ梅肉エキスもオススメですが、梅肉エキスはめちゃめちゃ酸っぱいのでサプリメントで取るのも良いでしょう。