ラクチュロースもしくはラクツロースというオリゴ糖を聞いたことがあるでしょうか。
こういう小難しそうな名前って聞いた瞬間に心を閉ざしてしまう方もいると思いますが、「ミルクオリゴ糖」という言葉なら聞き覚えがあるかもしれませんね。
ミルクとオリゴ糖というと真っ先に思い浮かぶのは乳糖(ラクトース)ですが、この乳糖とラクチュロース(ラクツロース)は一体何が違うのでしょうか?
こちらではラクチュロース(ラクツロース)とは何なのか?その効果や副作用は?ということについてお話していきたいと思います。
目次
ラクチュロース(ラクツロース)とは
ラクチュロース(ラクツロース)とは何なのかというと、別名「ミルクオリゴ糖」とも呼ばれていますがその名の通りミルクから作られるオリゴ糖です。
ミルクにはラクトース(乳糖)という二糖類が含まれています。ラクトースはガラクトースとフルクトース(果糖)という単糖が結びついた形になっていますが、このラクトースを加熱することで構造が変わって出来るのがラクチュロース(ラクツロース)なのです。
ラクトースを加熱することにより作られるということはつまり、天然には存在しない人工のオリゴ糖ということです。
人工のオリゴ糖と書くと、これだけで既にアレルギーを起こす人もいるかもしれません。しかしある意味で天然由来の乳糖から作られたオリゴ糖なんて言い方も出来ますね。
この世の全ての加工品は「天然成分をもとに作られる人工物」なのです。天然かどうか、人工かどうかというのは単なる言葉遊びであってそこまで気にすることではないと思います。
ラクトースとラクチュロース(ラクツロース)って名前も似てますよね。乳糖が形を変えたものということで異性化乳糖なんて呼ばれ方もしています。
ミルクオリゴ糖とか異性化乳糖とか色んな呼び方があるけど、ここではラクチュロース(ラクツロース)で統一してお話していきますね。
普通の乳糖(ラクトース)とは何が違うのか?
ラクチュロース(ラクツロース)はラクトースが加熱されることで形を変えたものですが、そうすることによってただのラクトースと比べて具体的に何が違うのか?ということが気になりますよね。
まずオリゴ糖というのは「消化されない小糖類」のことで、消化されないことで大腸に届けられてビフィズス菌のエサにすることが出来ます。
ビフィズス菌のエサになるという意味では乳糖(ラクトース)も同様です。
ただ乳糖(ラクトース)の場合は大腸菌、腸球菌、バクテロイデスといったビフィズス菌以外の菌のエサになってしまうのです。
この乳糖(ラクトース)の問題を解決するために作られたのがラクチュロース(ラクツロース)なのです。
ラクチュロース(ラクツロース)は1957年にオーストラリアのペチュエーリという人物が乳糖からラクチュロースを作り出し、乳糖よりも悪玉菌の利用率が低いことが示されました。
ラクトース・改といったイメージですかね。
おそらくこれは、人が体の中に持っているラクターゼという消化酵素によってラクトースが分解されてしまうのに対してラクチュロース(ラクツロース)は酵素がないのでただのラクトースよりも分解されにくいという違いがあるのだと思います。
ラクトース(乳糖)に対する消化酵素を持ち合わせていない人のことを「乳糖不耐症」なんて言ったりしますが、腸内細菌(特にビフィズス菌)の観点から見れば、むしろ消化しづらいほうが分解されずに腸に届いてビフィズス菌を増殖させてくれるということです。
そういう意味ではラクチュロース(ラクツロース)はラクトースよりも強い乳糖不耐症を引き起こすとも言えますね。ただ腸内環境の観点から言えばそちらのほうが良いので問題ありません。
高アンモニア血症の治療薬に使われる
さらに、ラクチュロース(ラクツロース)は高アンモニア血症という病気の治療薬として用いられることがあります。
高アンモニア血症というのは腸の悪玉菌によって作られるアンモニアが肝臓で解毒されずに血液中に多く含まれることにより脳にアンモニアが移行して、頭がボーッとしたりしてしまう病気です。
これに対してラクチュロース(ラクツロース)を摂取することで腸内に短鎖脂肪酸を作り出してアンモニアを作る腸内細菌の働きを抑えようということなのです。
ラクチュロース(ラクツロース)の便秘解消効果
善玉菌(特にビフィズス菌)を増やして悪玉菌を減らし高アンモニア血症の治療に効果があるということからもわかりますが、ラクチュロース(ラクツロース)は便秘の改善にも効果があるということが知られています。
ラクチュロース(ラクツロース)がビフィズス菌のエサとして代謝されて短鎖脂肪酸を生み出すと、それが腸の蠕動運動を活発にして便秘を解消してくれるということですね。
ラクチュロースの副作用とは
ラクチュロース(ラクツロース)は取りすぎることで下痢の副作用をもたらします。
それはラクチュロース(ラクツロース)が消化しにくい糖質ということで取りすぎると消化不良を起こしてしまうということなんですね。
牛乳を飲みすぎると下痢を起こすのは、牛乳に含まれる乳糖を消化できずに消化不良を起こしているからなのですが、オリゴ糖を取りすぎるとそれと同じような副作用が出るのです。
ただこれはオリゴ糖の「消化しづらい」という性質から考えると避けられない副作用ではあります。
さらに言えば食べ物は何であれ取りすぎるとお腹の調子を悪くしてしまうというのは当然のことですよね。
また、ラクチュロース(ラクツロース)はガラクトースとフルクトースからなる二糖という構造をしているので、先天的にガラクトースを代謝する酵素を持たない「ガラクトース血症」の症状も悪化させる副作用が懸念されます。
ラクチュロースのシロップやサプリは?
ラクチュロース(ラクツロース)はシロップとして売られているものが有名です。
ただ、市販のラクチュロース(ラクツロース)のシロップというのは純度が100%というわけではなく、砂糖などの余計な成分が入っている事が多いです。
これは何もラクチュロース(ラクツロース)ということに限らず、市販のオリゴ糖シロップ全般に言えることでしょうね。
市販のオリゴ糖のシロップの問題点については以前お話したとおりです。
そして、純度100%のラクチュロース(ラクツロース)シロップなら良いという話でもありません。
それは、オリゴ糖というのは一種類ではなく数種類を組み合わせて取ることが最も効果的だからです。
ビフィズス菌と一言で言っても腸内に住んでいるビフィズス菌には色々な種類があり、それぞれ好んで食べるオリゴ糖の種類も異なります。
そして、その色々な種類のオリゴ糖がビフィズス菌を最も活性化させる黄金比率なるものも存在します。
その黄金比率に基づいて作られているオリゴ糖がカイテキオリゴというものです。
カイテキオリゴはEOS理論というものに基づいてラフィノース、ラクチュロース(ラクツロース、ミルクオリゴ糖)、乳糖、環状オリゴ糖、フラクトオリゴ糖などのオリゴ糖を多くのビフィズス菌が最も活性化する黄金比率で配合しているものです。
元々オリゴ糖というのは単体で摂取するよりは数種類を組み合わせて取るほうがよりビフィズス菌を活性化出来るという研究報告がされてはいましたが、このEOS理論というのはカイテキオリゴ独自のオリゴ糖比率で、特許出願要請中のようです(特許情報プラットホームのHPで特許出願2013-509964で検索すると詳細が出てきます)。
ラクチュロース(ラクツロース)単体を取るだけよりもこちらの方がより効果的ということですね。
実用性の面で言うと、ラクチュロース(ラクツロース)のシロップなどはベタベタするし、重くて持ち運びに難があるのに対してカイテキオリゴは粉末状になっているので扱いに便利ですし、吸湿性がないことからベタベタしたり固まったりすることもありません。
これはカイテキオリゴに含まれているラフィノースというオリゴ糖の効果ですね。

ラフィノースは甜菜(ビート)から取れるのでてんさいオリゴ糖とかビートオリゴ糖なんて呼ばれ方もしていますが、オリゴ糖には珍しく吸湿性を全く示さないことから医療の現場で臓器移植の際の保存液としても使われているオリゴ糖です。
ラフィノースも非常に効果の高いオリゴ糖ですから、ラクチュロース(ラクツロース)と一緒にラフィノースも取れるカイテキオリゴは是非おすすめですね。
まとめ:ラクチュロース(ラクツロース)とは?便秘への効果や副作用は
ラクチュロース(ラクツロース)とは何なのか?その効果や副作用などについてお話してきましたが、まとめると
・ラクチュロース(ラクツロース)とは別名ミルクオリゴ糖で、乳糖を加熱することで作られる
・ラクチュロース(ラクツロース)は高アンモニア血症の治療に使われる
・ラクチュロース(ラクツロース)のシロップよりも複数のオリゴ糖が配合されたものがオススメ
ということですね。ラクチュロース(ラクツロース)のシロップでももちろん効果はあると思いますが、より高い効果を求めるならカイテキオリゴが適していると思います。
[…] 続きを読む […]